東の爛漫

あなたとの 証拠をここに 残します

「楽しかった」記憶がない大人、いつも人生は華やかな迷路

「今年は飲み会が少なかったですね」

ハラスメント黎明期な弊社では
「まだ結婚しないの?」と発言してしまう管理職の方がまだ生存している。
言われている女性がこの生声を録音するためにポケットし仕込んでいたら50手前のこの管理職男性の生活はどのくらい変わるのだろうか。
「真面目に結婚したいけど機会が回ってきていない女性」にそんなリスキーな発言は
やめた方がいいと思います。
こう、結婚しろと言われても彼女は会社の都合で地元を出て行った人の一人だ。
人事部の采配で女性の運命は左右されている。


地元に残っていたら普通に結婚していたかもしれない、けれど田舎に残りたくなかった私からすると
「そういうセクハラ発言は私に発言してもいいですよ、まだ一応若手のたぐいなので」と心の中で強気な私が姿を現してきた。
私は多分訴えないと思う。なんとなく。

「いつか結婚しないの?」とか「いつ子供作るの?」とか
予測不可能な未来について何か言われても全然大丈夫、
ただ過去について聞かれると私は少しだけ困惑する。
次に何と返せばいいのか最適化された綺麗な言葉が出てこない。


「1年のうちに楽しかったことって何?」

「中学校の球技大会、超楽しかったよね」

「ずっと小学生のままがよかったよね」

「ずっと大学生のままがよかったよね」



えっ・・・
そんなに昔のことを、昔読んだ本や映画のように想起するのだろうか。


私の小学校は全校生徒が70人しかいない集落ですでに閉校されている。
小中高、厳しい冬と寒々しい風景だけが思い浮かぶ。
生まれた時からこの田舎を脱却しなければならないと思っていた。

そんな私にとっては生きた記憶が今となっては東京の景色ばかりが思い浮かぶ。
分厚い雪の風景や重みがある雲、それらが人の可能性さえ阻んでいるように思えた。


みんなのように私は昔を思い出したりしない、
友達も多くないし。
学生時代の思い出を自分の頭の中で着色したり、消したりしているうちに
とうとう自分の頭の中から記憶が抹消されてしまったのだろう。
最近では顔すら思いだせない。

みんな、元気にしているか。

田舎を嫌っている一方で、田舎の方の 甲子園球児に何のゆかりもないのに肩入れしてしまう
東京出身で東京で働いている男性には性的な魅力を感じない
そんな一癖が出てきたのは大企業で働き始めてからのことだった。